出産

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近代医学前の出産

人が現代の医学を得る以前は、「出産」には大きなリスクがありました。

新しい生命の誕生ですから、人類共通の最大慶事です。ところが、それは、近代の医学の恩恵を前提としているのです。
出産ほど、喜びと落胆が近接した事業はありません。出産は、もっとも忌み嫌うべき「死」が非常に近くにあった時代が永くありました。

高い確率で母子ともに死の危険があったので、リスキーな事業として「ケガレ」の範疇でした。生と死、明暗を分ける運命的事業と考える中に「しきたり」が起こるのです。

 

  • 妊娠中のお祝い「帯祝い」

懐妊を祝う儀式です。「着帯祝い」とも言います。晒木綿の帯を使用するのですが、この儀式で使用する帯を特に「岩田帯」といいます。「斎肌帯」と書くのが正式です。日本だけのしきたりです。

妊娠五ヶ月目の初めにくる「戌の日」にこの帯を妊婦の腹に巻きます。戌の日が選ばれるのは、犬の出産が、人の目から見ると非常に楽に、しかも多産で行われるので、安産を祈願した儀式です。安産とは、女性にとって、楽に出産できることも言うまでもありませんが、何より、母子の生命の安全祈願です。

インドを発祥とする仏教では、犬は「あの世」と「この世」を行き来できるものとされ、人の霊魂がこの境目を通る時の守りの役目を持つとされていました。由来はそこから始まったとされますが、「帯祝い」は神道の行事ですから、仏教と切り離した考えが正しいです。このしきたりの起こりは江戸時代です。

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<以下、不定期、かつ、継続して加筆更新を行います。by O.Youki:7oct14>

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